遡る/青井
めたぼくでした
でもそれ以上の詳しい説明はむずかしい
遡るというのはきわめて個人的なものなので
ひとに説明できる類のものではないから
左のポケットからタバコとライターを取り出して
最後の一本に火をつける
はたからは一服ついているように見えるかもしれないが
こうしている今もたしかにぼくは遡っているのです
うーんちょっと湿気っちゃってたなこのホープ
なんてのん気に構えてはいるけど
内心はそこそこ心細い
遡るなんて初めてのことだから
そもそもぼくはなんの「流れ」を遡上しているのかしら
時間の流れを遡るというなら
ドラえもんを観て何度も疑似体験しているけど
いくら周り
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