おとめ/壮佑
 


ザ・ビートルズは歌う
誰も近づく者のいない神父の孤独
(寂しい人々は何処に身を寄せるのだろう)
おとめにも 誰も近づく者はいなかった
囃し立てながら小石や貝殻を投げてくる
子供達を除いては

磯では終日ゆっくりと
ヒトデやウニが動いている
舟を漕ぎ出せば
沖でイカリ漁の鳥が舞う
おとめの海は
マダイに追われるイカナゴの群れも
背びれを揺らせて直立するタチウオも
いたかも知れない子の記憶も
すべてを呑み込んで波打っている

おとめは奇声を上げて
子供達を追いかける
鳥のように散らばるガキども
びいびい泣きながら
ふりちんで逃げる幼児もいるが
魚網の
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