おとめ/壮佑
 
網の陰から様子を窺っては
またそーっと近づいて
からかいの言葉を投げ付ける
やがて飽きてくると
鳥のように
母の待つ家に帰る

おとめは独りになり
島の西の浦まで
またぼろを引きずって歩いて行く
灯標のある岩礁に夕陽が沈む
(ああ、沢山の寂しい人々を見てごらん)
今もあの曲を聴くと思い出す
砂浜に立つおとめの丸い背中
夜ばかりの星が溶けた海のような
黒い後ろ姿

おとめよ そこから
何が見える
何が聴こえる




※()内はビートルズ「エリナー・リグビー」の歌詞(テキトー訳)。







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