さよならルル/吉岡ペペロ
 
かな光を投げています。
「ぼくは足なんかいらなかったんだ」
ルルがなみだをこぼします。
「水の中にいたときの方が自由だったんだ」
「あのときは、水の中を飛べたもの」
リリもなみだをこぼしています。
「からだが軽くてどこへでも行ける気がしたわ」
ルルとリリは初めてその目の中におたがいの蛙の姿を見ました。
なみだでひかりが乱反射して、いろんな方向の景色が目にはいっていたのです。

「ぼくたちはきっと今日のことも忘れてしまう」
ルルが続けて鳴きました。
「ぼくたちはぼくたちでないものになれないんだろうか」
ルルは「ぼくたち」という言葉を使ったことにハッとしました。
リリの目に
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