さよならルル/吉岡ペペロ
ル、いかないの?」
「うん」
「なんで?」
「理由なんか・・・ないさ」
ルルはリリにとめられたことをもうおぼえていませんでした。
「リリ、ぼくはなんで忘れちゃうのかなあ」
星空がにじんでいました。
「リリ、ぼくは泣いているよ」
「ルル、あたしも泣いているみたい」
池のほとりの赤い靄には、蛙たちのあやしい影絵が揺らめいています。
「ぼくはあそこにはいかないよ」
「あそこにはルル、いかないで」
「いかないよ、リリ」
「ありがとう、ルル」
葉っぱには、ルルとリリのなみだがたまっています。
いつのまにか池のほとりの赤い靄が晴れていました。
卵のような月が柔らかな
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