さよならルル/吉岡ペペロ
か、考えられないのです。
池のほとりにたくさんの仲間の影が上がっていました。
折り重なっているもの、争っているもの、影たちが月明かりの赤い靄の向こうにうごめいています。
ルルの胸がざわめきます。
「リリ」
リリは上を向いたまま動きません。
「リリは上がらないの?」
リリの澄んで濡れた大きな目には、池のほとりの靄など見えてはいないようでした。
リリの目はうっとりと星を映しています。
「ぼくはあそこにいくよ」
「なんで?」
「理由なんかないさ」
「いかないで」
「いっしょにいこうよ」
「このままお空を見ましょうよ、ルル」
ルルはリリに押し切られました。
「ルル、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)