さよならルル/吉岡ペペロ
ったのです。
大きな影がルルとリリの上を横切りました。
隣の葉にいたガブが、影にくわえられて星空に吸い込まれてゆきました。
「バカな蛙たちが、今年も池から出てきたよ」
どこからか歌うような声がします。
「親も知らない子も知らないただ生まれて死ぬだけのバカな蛙たちが出てきたよ」
ルルとリリは身を寄せました。
「親ってなに?」
「知らない」
「子ってなに?」
「分かんない」
「仲間たちのことかなあ」
「兄弟たちのことかなあ」
ルルのまわりには仲間か兄弟か、ルルを襲うものかルルが食べるものか、まったく関係のないものか、そんなものしかいませんでした。
「ルル、ルルがガブ
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