北の亡者/Again 2013皐月/たま
ウモロコシといった夏野菜を植えつ
けたのは連休明けだった。ただ、それにはもうひ
とつ理由があって、この連休は慣れない船旅をし
て、三宅島の友人を訪ねたからだ。
三宅島の雄山は、ほぼ二十年ごとに噴火を繰り返
し、今も噴煙と火山ガスを吐き続けている。三宅
は現役の火山島だった。島のいたるところに溶岩
と軽石が堆積して、畑はわずかしかないと友は言
う。五日間の滞在中にアップダウンとカーブの連
続する島の道を何周したことだろうか。そこには
海と山しかなくて、田んぼはおろか、畑さえも見
あたらなかった。
それでもこの島にも五月はやってきて、一期一会
の旅人を迎えてくれた。二〇〇
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