北の亡者/Again 2013皐月/たま
たしの足も軽くなる
ヒトは今も水辺の生きものだから
七年耕しつづけた畑の契約を
ことしはできなかった
田んぼも畑も薄っぺらなコンクリートの
大地に変化してゆくが
この地表のすべてを
ヒトが借り受けた訳じゃない
また
春に逢えますように
北の亡者と交わす契約はいつもと同じ
異星のような
梅雨空の下で
(一九九八年作品)
♯
勤めていた会社の近くの市民農園を借りて、畑づ
くりを始めたのは三十一歳のころだから、ちょう
ど、わたしが詩を書き始めたころと同じだ。借り
た農園に、ジャガ芋の種芋を植え付けたのは
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