歴史性/破片(はへん)
 
 風化した紙に閉じ込められていた、雲が、大海原の上空を滑り抜けていく。放ったのは誰。ここに人間が生まれていない時からの、長い旅を終わらせることが出来るのかどうか、その問いを。赤土が日を浴びて紅色の発光体に変化する。その巨大な土塊の頂から、一冊の本を拡げた、頁から雲を引き抜いて、遠くへ投げる生き物がいた。

なにかおしえて

何かって、何を

じゃあ、それ、を

誰にもわからないことなんだよ、それは

おしえる、ってそういうことなの

 世界線が交錯していて、そこは、誰も足を踏み入れない秘境。目に映るもの全てが黄金よりも輝かしく、自然であり、素朴な。そこは。海洋の底で生まれた
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