人魚/ホロウ・シカエルボク
えていました。ぼくの仕事はまず、かれらの死骸を始末するところから始まりました。ゲージと水槽をいくつかからにしたところで、ひとつだけ、まだ中でなにかが動いている水槽があることに気がつきました。それはぼくが見たことがないもので、比較的新しく飼われ始めたもののようでした。半透明で、身体が長く、スカーフのように水の中を揺らいでいました。こういう魚がこんな小さな水槽で生きていけるのだろうか?ポンプと、ぼくにはよく判らないいくつかの装置が付いていました。餌のこともよく判りませんでした。もしかしたら、水草などを食べて生き延びていたのかもしれません。そいつのことは後に回すことにして、Nが生物以外に残した僅かな私物
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)