人魚/ホロウ・シカエルボク
私物を、用意してきたダンボールに詰め込みました。Nのことはなるべく考えないように努めました。窓の下の染みも、なるべく見ないようにしました。午後遅く、ほとんどの片付けは終わりました。ぼくはひと休みをして、水槽の中でまだ生きている不思議な魚を眺めました。まだ生きているのなら、どこかのペットショップに連絡して、引き取ってもらった方がいいだろうか?それともここで、処分して捨ててしまおうか?ぼくにとってはどちらでもいいことでした。だから、どちらにも決めがたく、ぼんやりと水槽を眺めていました、その時でした。
西側の窓から強い太陽の光が差し込み、その水槽を照らしだしました。魚の身体がよりいっそう白く透き
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