フランダース/salco
 

た大であったが、シマの賭場でイカサマを働き組の看板に泥を塗る、敵対組織の密輸現場から強奪した銃器のアタッシェケースを
夜汽車で置引きされる、出入りで誤射して仲間を病院送りにするなど素行とヘマで詰め指を切らされ、20歳を過ぎた頃には左手
指の第1関節から先をすべて失っていたのだった。
 ハジキに装填もできない身を憐れんだ親分の温情で三下に降格された大であったが、その年の暮れ、正月の買物で大わらわの姐(あね)
さんをキャデラックで送迎中、前を横切った幽霊を避けようとハンドルを切って路肩にぶつけ、姐さんにむちうちを負わせて破門
されてしまった。

 三軒茶屋のキャバレー「ラテン・
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