錆びた世界の朝/ホロウ・シカエルボク
 
、寒さとか空腹とかももうそんなに判らない、痛過ぎて痺れているみたいになっていた指先もなにも感じなくなってしまった、夢を見ているみたいに目の前のものが遠い、すぐそばに寝ている弟さえも窓の外の建築物の様になってしまった、心が次第に水になっていくみたい、これが人生というものなのだろうか、私の人生というのはいったい何だったのだろう、遊べなかった、食べられなかった、学校にもそんなに行かせてもらえなかった、殴られたり投げつけられたりして、いつも身体のどこかしらがずきずきと痛んでいた、焼かれた様に身体の内側から疼き続けた火だってあった、空腹と痛みで台所の床に突っ伏している私の横で、あの人は黙って自分の分だけのご
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