錆びた世界の朝/ホロウ・シカエルボク
 




あれは
寒い寒い真冬の朝だった
ある郊外の
数十年前に廃墟と化した
黒ずんだコンクリートの
ボーリング場の駐車場で
不法廃棄された八〇年代の車の中で
暖め合おうとするかのように
きつく抱き合ったまま死んでいた幼い姉弟
彼らの人生よりも
ずっと長く死んでいた時たちが
雪のように痩せた身体に降り積もっていた
彼らが
いつ
そこに辿りついたのか
誰にも判らなかった
誰かがそこに彼らを捨てて行ったのか
彼らが自分でそこに辿りついたのか
彼らの姿すら誰も見たものは居なかった


そこから数十キロ離れた街に
ある女が居た
もうすぐ三〇になるその女は
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