足の裏のカタツムリ/茜井ことは
 
続々とドロップアウトしていく中、最後まで生き残ったのが白色のカタツムリだった。しかし、彼にもとうとう最期の日は訪れた。
 久しぶりに虫かご掃除をしようと、殊勝なことを思い立ったのがいけなかったのだろうか。白色のカタツムリを中から出して、わたしはいそいそと虫かごをお風呂場に持ち込んだ。そして、鼻歌交じりにシャワーで虫かごを洗い流していたら、突然
「いやぁっ!」という母の悲鳴が聞こえた。
 何が起きたのか、慌ててお風呂場を飛び出していくと、母は青ざめた顔をして
「カタツムリ……まさかこんなところを歩いているなんて思ってなかったから……」
 と何やらブツブツ呟いている。そして、母がそっと、足を
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