足の裏のカタツムリ/茜井ことは
 
た。わたしのカタツムリ・フィーバーに感化された弟が、雨の日に、アジサイの葉を点検してみたら、「まっしろのカタツムリがいたよ!」と喜び勇んで連れて帰ってきたのだ。母はきっと、心の中でため息をついていたに違いない。
 計三匹になったカタツムリは、土のない虫かごのなかをぬるぬると這い回って過ごしていた。特にわたしは弟の連れてきた白色のカタツムリがお気に入りだった。白い貝殻はさながらホワイトオパールのような輝きを持っていて、それは虹を中に閉じこめた雪のようだった。白いカタツムリの美しさに魅了されながら、わたしは弟と、寝そべって飽きもせず虫かごを眺めたり、時には散歩と称してカタツムリたちを外に連れ出し、誰
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