足の裏のカタツムリ/茜井ことは
、誰がいちばん速く進むのか競争させたりして、楽しくカタツムリとの共同生活を楽しんでいた。
しかし、そんな日々も、そう長くは続かなかったのである。
カタツムリを飼い始めて一年は経ったころだろうか。気がつけばあんなにかわいらしく思えていたカタツムリが、わたしにとってはただの面倒くさい存在にしか感じられなくなっていた。特にわたしを悩ませていたのが週に一度の虫かご掃除だった。緑色をした糞やら、しなしなになって貼りついたレタスやら、謎の白いぷつぷつとした物体――このときは知らなかったが、これは卵だったのだ――を、虫かごから出したカタツムリたちが逃げ出さないように注意しながら、短時間で洗い流す。た
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