足の裏のカタツムリ/茜井ことは
かわいいやろ?」とカタツムリをわたしの手に乗せてきた。
カタツムリはぬめぬめした身体をわたしにこすりつけながら、ゆったりと前進し始めた。今にも折れそうな繊細な目玉が揺れている。
もとから貝殻が好きだったわたしは、一気にそのロマンティックな外見をしたカタツムリに心を奪われてしまった。そして、マミちゃんの、「さいきん子どもがふえすぎたから、なんびきか、わけてあげるー」という一言にすっかり心ときめかせ、プツプツと穴を開けたパックに二匹のカタツムリをつめて、家路を急いだ。
家に帰ってカタツムリを早速自慢すると、母は卒倒せんばかりに驚いた。
「カタツムリを飼うって……。あんた、家には何も
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