原と影/木立 悟
室内の外灯が
ねじれながら消えてゆく
蒼と銀の昼
置き去りの冬
つながりのない空が手をつなぎ
脚で波を数えている
枝の標から
生まれる音
冬を曲がると
見えてくる原
刺さったままの
雨のかけら
鳥の終わりとはじまりと
こがねをまたぐ酸の庭
白くにおい
白くにおう
冬の鎖に書かれた名を読む
岩と枯れ木を行き来しては散り
はざまの径に降りつもる声
城と樹と曇
静かなむらさき
四つの路地がすれちがい
再び離れ微笑みあう午後
陰をつくる球体に
行方不明の光は集う
通りは常に あらゆる時間と
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