原と影/
木立 悟
歩行者のためにひらかれている
こがねはこがねに
みどりはみどりに変えられて
やがて見るものは居なくなり
こがねをこがねに
みどりをみどりに聴くばかり
冬へ 冬へ
星をかかげる星の手をとり
ざわめきはざわめきを
何も聞こえぬところへ連れてゆく
原を囲む柱が震え
冬の碑の文字を吹いている
境いめに生まれた緋色の子狐
長い影を歩いてゆく
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