空に浮かぶ棺/まーつん
 
としたのだが

  醜い自分の思い出は
  いっかな 灰になろうとはしない

  そこで仕方なく

  まだ
  肌の色艶も鮮やかな
  青臭い思い出の身体を
  棺に戻して

  今度は
  海に流そうとしたが
  波打ち際に吐き戻されて
  いかめしい棺の箱は あわれ
  砂にまみれて 浜に横たわるばかり

  引き取り手のない思い出に
  墓石を建てて 
  土の下に腐らせるのは
  夢見が悪いので

  春風に
  枝をそよがす林の奥
  人目につかない物陰で
  塵に還るまで風に晒し
  空の運び手に委ねようと

  えっちら お
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