空に浮かぶ棺/まーつん
としたのだが
醜い自分の思い出は
いっかな 灰になろうとはしない
そこで仕方なく
まだ
肌の色艶も鮮やかな
青臭い思い出の身体を
棺に戻して
今度は
海に流そうとしたが
波打ち際に吐き戻されて
いかめしい棺の箱は あわれ
砂にまみれて 浜に横たわるばかり
引き取り手のない思い出に
墓石を建てて
土の下に腐らせるのは
夢見が悪いので
春風に
枝をそよがす林の奥
人目につかない物陰で
塵に還るまで風に晒し
空の運び手に委ねようと
えっちら お
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)