呪いの朝/ホロウ・シカエルボク
の窓を叩き割りながら歩いた、誰も出てきたりしなかったし、怒声が聞こえてくることもなかった、なのになぜだろう、幾つもの窓を割ったあとで、俺は背後から漂ってくる得体の知れない気配に気付いた、考えなしに振り返ると、有害物質を燃やした時の煙みたいな黒いものが、俺を捕まえようと路地の奥から迫って来ていた、俺はパイプを捨てて走った、だけどそんなに長くは走れなかった、俺は初めからクタクタに疲れ切っていたのだ、俺は路に倒れ込んだ、路面からは耐えがたい臭いがした、いくつもの死骸がそのうえで腐っていったみたいな臭いだった、黒い煙は俺の身体を包みこむと、大きな手のひらで握り潰そうとするみたいな圧力をかけてきた、俺の身体
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)