呪いの朝/ホロウ・シカエルボク
 
身体はその力にまるで抵抗することが出来なかった、まず脊髄が折れる音がした、次に肋骨が砕け、最後に骨盤が割れた、内臓が破裂し、口から血が噴き上がった、おそらく他のところからも血が流れ出しているのだろう、俺の肉体はカラメルに塗れたみたいにぬるぬるとし始めた、そうして俺は、俺の肉体は拳くらいの大きさの歪な玉になった、飛び起きると全身にびっしょりと汗を掻いていた、嫌な夢だ、と俺は思った、汗を拭う時に両肘に痛みを感じた、見てみると固い地面で擦りむいたような傷があった、立ちあがろうとすると同じ痛みを膝にも感じだ、確かめると同じような傷があった、唇を舐めるとどろりとした感触があった、指で舌に付いたものを拭ってみるとそれは血だった、俺は振り向いた、あの黒い煙がぼんやりとそこに漂っていて、ぶうぅ、とモーターのような音を立てると、風に吹かれたように消えた、俺はしばらくの間呆然として、両手で顔をゆっくりと拭った、この一日をどんなふうに始めればいいのか、まったく見当もつかなかった。


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