呪いの朝/ホロウ・シカエルボク
の街角には、果たして誰かが存在しているのか?俺はもう一度上を見上げた、相変わらず遠く薄暗い空と煤けた洗濯物があるだけだった、ある窓に誰かの影を見たような気がしたが、気のせいと言えば気のせいで済むくらいの感覚だった、そんなことにこだわってはならない、なんだか判らないが、俺はこの先まで路地を進まなければいけないようだ、俺は歩き始めた、時々歩き方を忘れたみたいに膝ががくんと崩れた、ちくしょうめ、と俺は毒づいた、天気、臭い、洗濯物、そんなもののすべてが俺をいらつかせるために存在しているような気がした、俺はムカついた、相当にムカついた、路地の隅に積み上げられていたごみの中から鉄パイプを掴みだし、そこら中の窓
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)