呪いの朝/ホロウ・シカエルボク
 
になるのだ、俺はへとへとに疲れていたが、同時にいらついてもいた、なぜこんなところを延々と歩かなければならないのだ、そこらへんの窓を叩き割ってしまいたいくらいの気持ちがくすぶっていた、急かされるような感覚があった、早くしろ、早く歩け、早く行け、誰かが背後から俺の耳元でずっとそう囁いているかのような、そんな感覚、そしてそれには、無視してはいけない絶対的な何かが含まれていた、俺はそいつの意志に左右されていた、俺自身、そこを歩いていきたいのかどうかなんて判らなかった、名前すら知らない路地をなぜ歩いているのか、誰かが通りかかったのなら冗談交じりに聞いてみたい気分だった、誰か?誰か、誰か居るのだろうか、この街
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