社会科学と文学/葉leaf
識が文学へもたらす内容は豊富である。
そして、経済学もまた文学にとって有益である。経済学は、その理論を構築するにあたって様々な人間観を打ち出す。典型的には、エコノミックマンと呼ばれる、利己的で合理的で知識のある人間を想定したりするが、それは、人間とは何かという人間観の問題につながっている。さらに、経済学は、社会の物質的な法則を見出していくことにより、個人を超えた社会というもの、個人の意図を超えて集合的に成立する法則というものを明らかにすることで、個人には回収されない社会というものの存在を明らかにしてくれる。ところで個人には回収されない社会こそ、文学の外枠をなしているものであって、その外枠の認識
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