社会科学と文学/葉leaf
文学と社会科学は無縁であるかのように思われがちだし、実際、文学をやっている人間が社会科学に明るいかというと必ずしもそうではない。むしろ、社会のことなんてそれほど興味がない人がたくさん文学をやっているのである。だが、それではおのずとその文学自体にも限界が生じてこないだろうか。
文学は私的なことのみを描くのではない。そもそも純粋に私的なことなど存在しない。私的な領域にも公的なものは入り込んでしまっていて、逆に公的な空間にも私的なものは入り込んでいる。この、パブリックとプライベートの二分法が成り立たないという認識、これがまず社会科学への関心を持つために必要なことである。人間は社会によって規定されて
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