「ありふれた」と済まされるお話/ドクダミ五十号
 
を箔押しした黒皮表紙の本を

音読して居りました

そうすれば恐ろしい時代が終わるのだと


けれども

終わるどころか

兵隊さんは益々目を血走らせて

口々に俺達はクルセーダーズなのだと

殺戮に励むのでした


豚の旗印を掲げた者が

揃って崖から濁流渦巻く河へと

落ちてしまった事は

自分達には当て嵌まらないと

高らかに進軍の喇叭を吹き鳴らすのでした


あろうことか

オリーブの小枝を咥えた白い鳩が

銃弾で赤く染まり

地に落ちて息絶えるのを

コモンちゃんとコーティシーちゃんは

手を叩いて笑って居りま
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