「ありふれた」と済まされるお話/ドクダミ五十号
 
りました


グッドちゃんとセンスちゃんは

益々大声で音読し

その激しさで金箔は表紙からひらひらと

剥がれてしまいまして

もはや只のブラックなだけの本は

何の意味も無くなりました

兵隊さん達も気付きはしません


珍しく荒野に雨を降らす様な雲が垂れ込めて

雲間から一筋の階段の様な光が射して

赤く染まった鳩を抱いた

銃弾に倒れた少女が天に向かって

その光をのぼって行きます


本当に悲しい事ですが

善について正直だったのは

召された少女だけでした
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