氷点/千波 一也
素足に広がる波紋のはじまりは
ささいな涙と
ささいなため息
ささいな全てのはじまりは
かならず此処にあるけれど
終わりについてはわからない
誰もわからない
わかってはいけない
睦まじくいつわり合いましょう
睦まじくとらわれ合いましょう
どちらがどちらを担うかなんて決めたところで叶いません
睦まじくうつむき合いましょう
睦まじくたちのき合いましょう
どちらがどちらを担うかなんて境で言ってもはじまらない
連鎖してゆく矛盾のそばには
いつでも言葉が寄り添っていて
それはそれは安らかに事も無げに
季節をつむいでみせるから
まぼろしは燃えてし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)