氷点/千波 一也
 



素足に広がる波紋のはじまりは
ささいな涙と
ささいなため息

ささいな全てのはじまりは
かならず此処にあるけれど
終わりについてはわからない
誰もわからない
わかってはいけない


睦まじくいつわり合いましょう
睦まじくとらわれ合いましょう
どちらがどちらを担うかなんて決めたところで叶いません
睦まじくうつむき合いましょう
睦まじくたちのき合いましょう
どちらがどちらを担うかなんて境で言ってもはじまらない


連鎖してゆく矛盾のそばには
いつでも言葉が寄り添っていて
それはそれは安らかに事も無げに
季節をつむいでみせるから
まぼろしは燃えてし
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