氷点/千波 一也
てしまえる
美しさをたたえて燃えてしまえる
けずり落とされてもしまえる
はかなくて
放ってはおけないきらめきとなって
けずり落とされてもしまえる
従順なら良かった
もののあはれ、にも
辱めにも
咎めにも
従順なら良かった
はげしさを増す怒りの深みから
きびしさを増す慈しみの上辺から
奔放にともされ続けている
いちるの望み
常夜灯
その下で
あるいは上で
ひとつのものへと帰ろうとするうたが
わたしの耳に運ばれる
ひとつのもとから分かれたはずの
寂しいばかりではいられないはずの
わたしの耳に
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