生まれを鎮めるためのなにか (The Collection)/ホロウ・シカエルボク
 
幻想に捕われることがある、ほら、指先から垂れ落ちてゆく俺の身体、それは俺の骨盤まわりに嫌な臭いの溜まりを作る、そこにはジャジューカのような湿気がある、俺はウェザリングを施された骨格になり、キーボードを叩く、ディスプレイには訳の判らない文字列が表示されている、ほら、俺の言葉は俺だけのものになった、そいつはきっと、俺と同じような誰かをここに導くだろう、そいつはきっと、俺と同じような肉塊をもうひとつ作るだろう、それは連鎖というよりも感染と呼んだ方がきっと収まりがいいはずさ、判るだろう、それは根源的な魂に巣食う異質な細胞さ、だけどそれは蝕むものじゃなくて貪るものなんだ、ほら、判るだろう、俺の口元を見てみな
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