リアル/寒雪
を
ぼくらは覗き込む
誰一人息も出来ないほど
静けさに支配された部屋に
ぼくらはすっかり歪んでしまった
心の奥に潜む
本当のぼくらを見ては
思わず嗚咽を漏らす
共同墓地に葬られた
人々を照らす悠久
墓石を前に佇むしかない人たちの
心の傷はどれだけの世界を
地図の上から消し去ってしまったのだろう
その時
ぼくらの感情も無傷ではいられない
悲しみを肌で受け止め続けていても
ぼくらは
傷つけることを止められない
むしろ
積極的に傷つけている
ぼくらの目前には
みんなの心に巣食っている
棘だらけの嘲りが
肺を押し潰そうと
そびえ立って忍び笑い
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