セプテンバー山男/カンチェルスキス
 
 すると
 曇り眼鏡野郎はその態度に腹を立て
 さらに激しくおれを怒鳴りつけた
 おれはこいつをアラスカに連れて行って
 吹雪の止まった日にでも
 銃殺したいと思ったけど
 アラスカまで行く金がなかった
 おれはゆっくりやった
 おれはおそらく今世紀でもっともご婦人用ファッションカタログを
 ゆっくり積み直す男として
 世界史に記録されたに違いなかった
 うんざりするような沈黙が続いた後で
 おれはその場所から移動させられ
 一階のフロアの掃除やゴミを拾い集めて回る勇敢な男に生まれ変わった
 いつからいつまでそこにいたのかは
 わからない
 春から夏までだったか

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