セプテンバー山男/カンチェルスキス
 

 製本工場の仕事だ
 ベルトコンベアは神だった
 そしておれたちはそれに従った
 隣に立った粉っぽい化粧の匂いのする女が
(けっこう若くて形のいいおっぱいをしてた)
 いろいろ教えてくれた
 もっといろんなことを教えてほしかったが
 仕事以外のことで教えてくれたのは
 スロットマシンにはまってる彼氏がいるという情報だけだった
 そしておれはおれを見つめる一人の女に気づいた
 三十過ぎの女で
 髪はロングで背中まであって
 異常に毛先が荒れていた
 スーパーの特売で売ってるような
 あざやかな柄のケミカルウオッシュジーンズを履いて
 甘ったるい声を出した
 しぼ
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