戯曲(習作つづき6)/星☆風馬
 
いいこともあるじゃないか」
母   「わたしはそうは思わないの。龍児はともかく、奈津が聞いてきたら本当のことを話そうかと思ってるの。疑いがあるなら、そんなのきれいさっぱりなくした方が、たとえ本当のことを聞いて悩んでしまったとしても、そっちの方がいいと思うの」
父   「ダメだ。そんなの絶対ダメだ。奈津はおれたちの子なんだ。紗倉真奈の墓参りだって毎年命日には家族全員で行ってるじゃないか。紗倉だってわかってくれてるよ。いや。絶対わかってくれてる。と、おれは思う」
母   「そうですか、お父さん。知らないまんまお参りするのと、知っていてお線香あげるのと、どっちがマナティーは嬉しいかしら。奈津だって
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