まだ見ていないものがある限り俺は何も知らない/ホロウ・シカエルボク
 





指先を切り裂いて、騒がしい血を全部抜いて、滴るものを飲みほして、温い悪夢を循環させる、脳下垂体に張り付いた、混然一体の俺のグラフィック、歪み、千切れ、撒き散らされながら、どんな軌跡をたどろうとしていたのか、運命は寝床の染みで宿命は下腹部の不具合だ、目の端で光がいくつも瞬くような痛み、いったい何を照らそうとしている、妙な冷たさに凍えた爪先はいつでも、存在を受け止めてくれる地平を探している、尺取虫の様に蠢きながら―生命は、存在は、常にのたうち回るものだ、死人の様な悟りなんて俺は欲しくは無い、道標を到達点だと考えるような愚かしい真似は―まだ見ていないものがある限り、俺は何も知らない、
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