嵌め殺しの窓/ただのみきや
 
アパートの暗い階段を上って行くと
二階には嵌め殺しの窓があり
そこだけがまるで古い教会の天窓のよう
純粋に光だけを招き入れていた

迷い込んでいた一羽のすずめは
幼子の震える心臓のよう
嘴を半開きにしたまま
狂ったように怯え

硬い光の壁に幾度となく
羽ばたいては突進し
そのたびに激しく身を打ちつけて
よろめくように また身を翻し

止まる所も見いだせず
空中を右往左往し
壁にも爪を掛け切れず
もがきながらも なお繰り返すのだ

本能が光へ空へと向かわせる だが
そこには決して超えることのできない透明な壁がある
脱出の道は階段を折れて下った暗闇の底

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