嵌め殺しの窓/ただのみきや
 

鳥にとっては死の陰の谷の向こうだ 

なんとか下に追いやろうとしたがだめだった
余計に怯えてしまい窓に体当たりを繰り返すのだ
成す術もなく
わたしはその場を後にした

鳥にも人にも性がある
抗えない本能としての衝動が駆り立てる
暗闇から光へ
束縛から自由へ
不安から安らぎへ
恐怖は見えざる巨人のようにわたしたちを追いたてる

だが知らなければいけない
時には嵌め殺しの窓が人の歩みを阻むことを
それは運命の皮肉のように 決して届かない
ガラスの向こうの幸福だけを見せつける

暗がりの生活から見上げる美しい世界
目が眩むほどの輝きを見てしまったばかりに
もはや見出せなくなるのだ
暗闇を超えて生きて行く その道筋を

男と女もまた然り
互いの間のガラスに気がつかず
手が届くはずなのに届かない
夢の生活を見つめながら

ゆっくりと 干からびて行く

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