ひかり まばたき/木立 悟
午後の曇を浴び
しなる枝
鉛に降る銀
径をふちどる滴と滴
水を歩む蝶の後ろに
投げ棄てられたように虹は来て
飛沫 飛沫
水紋と歩幅の間をつなぐ
路の脇の草むらに
見えかくれする死骸の背
わずかな雪と土埃
街は光と音のむこう
夜の蒼と紅の前を
雪がひとつふたつすぎ
草のとなり すさりと刺さり
白い原となってゆく
誰もいない街のはずれ
話し声をついばむ鳥
空へ空へのばされる
氷の針に降りそそぐ色
森から飛びたつ森を映し
水は黙り 黙っている
どの星を どの鈴を食べたのか
訊いても訊いても黙っている
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)