看取り(4)/吉岡ペペロ
 
は小さすぎて低すぎてぼくはいつも立っていた。座って息子はいつも眠った。

息子の寝顔を見つめて隣に座る女の子が微笑んでいる。ぼくは彼を見つめてため息を吐いている。

ぼくは選択を間違った。看取りなんてするんじゃなかった。

次の停留所のアナウンスが聞こえて停まりますのランプが点灯した。

女の子にスミマセンと声をかけて車窓にあたまをつけている息子の肩を揺らす。

静かに思い出したような目をして息子が目を覚ました。ぼくはその顔に微笑みかけた。

微笑みかけながら息子もしばらくのあいだ不安から解放されているのだろうかと思った。

と、女の子の顔がぼくの目のまえに突き出されて
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