看取り(4)/吉岡ペペロ
れてびっくりした。
いい顔だわ、こんど写真を撮らせてくれないかしら、
ぼくは反射的に微笑みを返していた。
バスが揺れて女の子を避けるように狭い通路でぼくは吊り革につかまっていた。
息子がぼくと女の子を見つめていた。
きゅうにスミマセン、でもとても素敵な顔をしていらしたんで、
頭をぺこりとさげて女の子は席に座りなおした。それからまた顔をぼくに向けて口をとがらせた。
ぼくも息子の目にむかって口をとがらせた。息子は興味がないという仕草をして首をかたむけた。
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