沈黙/岡部淳太郎
 
ぼろぼ
ろに欠け落ちて、犬の毛は生え変る、神は不在でも、石
は路傍で見つづけているから、歩いて、いかなければ、


  黙ってしまえば、
    誰にもわからないだろう、

  黙ってしまえば、
    知られることはないだろう、

    私が遺してきた、
    すべての 羞恥、
    私が遂げてきた、
    すべての 病歴、

  黙ったままなら、
    忘れてしまえるだろう、


十一月の、渇きであり、また乾きでもあったのか、この
赤い石の陰に、来なさい、すべて巡るものは、夕陽の恩
寵のもとにある、すきまから、吠える犬、声帯を切除さ
れな
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