詩と科学 詩と向き合う/葉leaf
 
葉だったら、啄木が見たその具体的な家の見え方、家を出たり家に戻ったりするときの歩いたりという身体感覚、そのとき啄木が家について抱いている感情、考え、そういうものがすべて「家」という言葉(観念)に含まれているのです。そういう異質な事物の集合を含むのが詩の言葉であり、さらに異質な事物へと開かれていくのが詩の言葉なのです。「家」は啄木がそこから出たりそこへと戻ったりする場所ですが、その様子を友人は笑います。そのように、詩の言葉はそれにまつわる出来事へとつながっていき、その出来事はさらに出来事を生むという具合に、どんどんと世界の生の具体的なあり方に従って広がっていきます。
 自然科学は、物事を抽象化・数
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