ポエトリーワールド 詩と向き合う/葉leaf
敷衍しましょう。或るテクストは、それが理論や歴史的文脈に照らし合わされて詩になる。つまり詩の世界「ポエトリーワールド」に入るのです。
さまよひくれば秋ぐさの
一つのこりて咲きにけり
おもかげ見えてなつかしく
手折ればくるし 花ちりぬ
大正十年に刊行された佐藤春夫の『殉情詩集』所収の「断章」です。大正末期には主に民衆詩派のこのような人道主義的民衆讃美の詩が書かれました。一方で、その頃、平戸廉吉によって次のような詩が書かれました。
B●●●声●●声●塔●●●●●恋●人(「合奏」――大正十一年二月号「炬火」)
民衆詩派からすれば、平戸の詩は詩ではないと思われたかもしれません
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