ポエトリーワールド 詩と向き合う/葉leaf
 
せん。ですが、平戸には彼なりの詩についての理論がありました。(平戸は自分の未来主義を理論ではないと言っていますが、それは理論ではないという理論です。)つまり、世界中の病的頽廃を突き破るためには過去幾世紀も続けて来たような姑息な療法では間に合わない。「直情」が必要である。引用部はその「直情主義」に基づいて書かれた詩なのです。また、平戸は「アナロジスム」という理論も持っていました。アナロジスムとは、実在に対する感覚と内潜する意識との合一を図る立場です。要は、平戸の未来主義の詩は彼独特の詩の理論に基づいており、その理論に合致するものとして、詩の世界「ポエトリーワールド」の中に入り、詩となったのです。

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