レールと荒野/藁谷 正太
 
赤いものや白いものを吐き出して
人生は進む
少女の肌のにおいを
冬の空気が
標本にするとき
俺の口の中は砂漠になる
「どこからきたの そんな汚れた靴で」
と問いかける声が
8ビートになった
汽車は進む
汽車は崩れる
連結している列車なら
事故をしているところだが
汽車は進む
汽車は崩れる

俺にできることは
水をたくさん飲むことぐらいだ
若いころから
処世術を学んでばかりだった
15歳になった日
金魚鉢に向かって
射精した
押して押して押されて
気が付いたら
45歳
どうしたらいい?

怖くなる

昨日地下鉄で
女の子の目の中を見てい
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