温い感触の鎮魂歌/ホロウ・シカエルボク
なくなったってことさ、あとは潔く死を臨むのみだ―息があったって冷たいだけだしさ
なんらかの理由で途中で忘れられたいくつかの言葉の切れっぱしをまとめてごみ箱に放り込んだ日の夜、夢の中でおれが聞いていた年代物の真空管ラジオから聞こえていたのはそんな言葉だった、夢の中のおれは現実よりもずっといい部屋に住んでいたぜ、地中海のリゾート・ホテルみたいなヌケのいい部屋だった、窓から海が見えてさ…!考えてみりゃそんな部屋じゃないと年代物のラジオなんて似合いはしないよな、ともかく、甲高い声のディスク・ジョッキーは巻き舌でそんなことをくっちゃべっていた、ようD・J、あんたもまるで出来上がっちゃいないじゃない
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