ふるえる/岡部淳太郎
うわさや、ちりのよう
にめにみえないうぃるすまでも、はこんできてしまう
から、そのためにあなたはますますふるえて、ますま
すむこうぎしのことを思ってしまう。風にのって、こ
こからわたってしまったむすうのこころが、おおくの
なきものたちのために、たえまなくほほえむ。ぶるぶ
るとふるえて、にわとりのようなうんめいを思いなが
らも、あなたはすこしずつめをほそめてゆく。ふるえ
るのは、風がふくからだと、夢の人はいった。風はど
こから、ふきつなほうがくから、それともひがしずむ
ほうこうから、ふいてくるのか。それはあなたのびん
かんなはだをなでて、あなたをむずがゆい思いにさせ
る。そし
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